オーパングルマンのこだわり

◆ 国産小麦

オーパングルマンでは、国産の小麦粉を複数種類、ドイツ産のライ麦粉を1種類、それぞれのパンに最適なブレンドで使用しています。

小麦粉
上がライ麦粉、左下が石臼挽きの小麦粉、右下が通常の小麦粉

どうして国産小麦?

日本では小麦はほとんどが輸入に頼っていて、国産のものはわずか10%しかありません。当然価格も高いのですが、オーパングルマンではあえて国産小麦をメインに使用しています。なぜなら国産小麦はやっぱりおいしいですし、日本人の好みにも合っているからです。

昔ながらの石臼挽き粉

ご存知でしたか?石臼挽きって、今もあるんです。やっぱりほとんどの小麦粉は機械挽きになっていますが、昔ながらの大きな石臼でゆっくりごりごりと挽いた粉は、小麦の香りが強く、風味がまったく違います。色も違っていて、通常のものよりちょっと黄色味があります。

独特な味わい、ライ麦粉

ドイツでよく食べられているライ麦粉のパンは、少し酸味のある独特の味わいがあります。そのまま食べてもいいですが、クリームチーズやパストラミビーフをはさむと、とっても美味しいです!ぜひ、サンドイッチにして召し上がってくださいね。オーパングルマンでは「ライ麦50%パン」「カンパーニュ」で使用しています。

ライ麦50%くるみレーズン
ライ麦50%くるみレーズン

産地 石臼挽き 種類 使われているパン
日本(国産) 強力粉 食パン・カンパーニュ・シリアル・ライ麦50%パン・他
強力粉 食パン
準強力粉 食パン・くるみとレーズンのパンなど、ヴィエノワ生地のパン
中力粉 バゲット・チャパタ・いちじくのパン・他
ドイツ産 ライ麦粉 ライ麦50%パン・カンパーニュ

◆ 天然酵母

オーパングルマンでは、ライ麦から起こした自家製天然酵母を使ってパンをつくっています。

天然酵母ってなに?

酵母というのは、パンをふくらませる発酵を起こす菌たちのことですね。それでは天然酵母とはどういうものなのでしょうか。
天然酵母の反対は、ふつう「イースト」と呼ばれている、市販の酵母です。酵母であることは天然酵母とかわりないのですが、工業的に生産され、効率よく短時間で発酵する(=ふくらむ)ように、発酵するちからの強い酵母を厳選し、純粋培養したものです。ですからイーストを使うと、安定的にパンをつくることができます。逆に、天然酵母は自然界にふつうに存在する酵母を集めたものですから、発酵するちからは元々強くありませんし、いろいろな種類が混ざりあっているため、安定もしていません。オーパングルマンでは、パンをふくらませるためのイーストはできるだけ少なくし、味に深みを出すために天然酵母を使っています

天然酵母でつくるパン
天然酵母でつくると味も香りも変わります

天然酵母でつくるとなぜおいしいの?

イーストは塩でいえば、工場でつくられる精製塩のようなものです。純粋で混じりけがなく大量生産ができますが、海水や岩塩からつくられる自然塩に味では劣ります。それはなぜかというと、自然塩にはミネラルが含まれているからですよね。簡単にいえば、不純物と、そこから出てくる雑味があるから、自然塩は精製塩よりもおいしいのです。

天然酵母を使うとイーストよりもおいしいパンをつくれるのも、同じ理由です。天然酵母は自然に存在する酵母を、たねとなる果物や穀物を使って集め、増やしたものです。当然、天然酵母にはたくさんの種類の酵母が含まれています。これが雑味…深みと広がりのある味をつくりだすのです。

イーストは、効率よくパンをたくさんつくるのには向いているのですが、純粋培養されたものであるため、味に深みが出ないんですね。そもそも工業的にイーストがつくられるようになったのはここ百数十年のことで、それ以前の4000年間(メソポタミア文明で既にパンがつくられていたことがわかっています)はずっと天然酵母だけでした。
イーストは安定的にパンをつくるという点ではとても有用なのですが、おいしさという点では天然酵母にかなわないんですね。そこで最近、昔の製法が見直されて、手間はかかるけれどもやはり天然酵母でパンをつくろうという流れになってきているんです。

天然酵母でつくるパン

天然酵母はどうやってつくるの?

天然酵母はその名のとおり、自然に存在する酵母を集め、増やしてつくります。これを「酵母を起こす」と言います。何をたねにするかによって変わってきますが、オーパングルマンでたねにしたライ麦粉から起こすやり方は次のようになります。

  1. 煮沸消毒した容器に、もととなるライ麦粉を入れて水を注ぎ、よく混ぜる
  2. ふたをして、あたたかいところ(25℃付近)で1日放置する
  3. 発酵してふくらんでくる。毎日小麦粉と水を足しよく混ぜる
  4. 一週間ていどでできあがり。酸味の強いヨーグルトのような味がします。

天然酵母。泡立っているのは発酵が続いているからです
天然酵母。泡立っているのは発酵が続いているからです

オーパングルマンでは、開店のときに起こした天然酵母に、毎日小麦粉と水を足して使っています。もとはライ麦粉ですが、維持するための養分は小麦粉なんですよ。

当店自慢の天然酵母のパンを、ぜひ召し上がってくださいね!

◆ 低温長時間発酵

オーパングルマンでは、18時間以上の低温長時間発酵で、パンの味わいをじっくり引き出しています。

低温長時間発酵ってなに?

発酵は、パンづくりに欠かせない大切な工程です。発酵させることによって、ふっくらとした食感と、豊かな味わいが生まれます。それは酵母の働きであることは、すでにお話ししました。それでは、発酵時間の長さを変えると、なにが変わってくるのでしょうか。
発酵時間に影響を与えるのは、イーストの量、糖分の量、そして温度です。酵母たちは生きているため、温度によって活動が活発になったり、鈍くなったりします。種類によって違いますが、27℃前後がもっとも活発になる温度です。逆に温度を下げて寒い状態にすると、酵母たちの活動は鈍くなり、発酵はゆっくりになります。低音で、長時間発酵するから、低温長時間発酵というわけです。

低温長時間発酵でつくるとなぜおいしいの?

低温長時間発酵でおいしくなるポイントは次の2つです。

  1. 小麦粉の甘みを引き出せる
  2. 深みのあるおいしい香りが出る

低温長時間発酵ではたくさん糖がつくられるので、小麦粉の甘みが引き出されたおいしいパンになります
発酵の過程では、まずでんぷんから糖がつくられ、その糖がアルコールと炭酸ガスになります。でんぷんから糖をつくるのには、糖からアルコールと炭酸ガスをつくるのより時間がかかります。短時間で発酵を終わらせてしまうと、あまり糖がつくられません。逆に低温長時間発酵では、たくさん糖がつくられるので、甘みが引き出されるわけです。これは砂糖を使わない、バゲット(フランスパン)やチャパタなどで大きな違いとなってあらわれます。

発酵中のバゲット
発酵中のバゲット

糖がたくさんつくられるのと同じように、低温長時間発酵では香りの成分もたくさんつくられるため、パン生地と天然酵母由来の、自然でよい香りがします。なるべく長く発酵させた方がいいのは、ワインと同じですね。

具体的にはどうやっているの?

オーパングルマンでは、18時間以上の醗酵時間をとっています。ふつう、こんなに長い時間発酵させると、ガスが出すぎてスカスカになり、風味も悪くなります。では、なぜこれほどの長時間発酵ができるのでしょう?

それは、ドウコンといわれるパンを寝かすための冷蔵庫で約5℃の低温状態をキープすることと、イーストの量をできるだけ少なくすることで、可能なかぎり発酵を抑えているからです。もちろん調整を間違えば発酵が進みすぎたり、逆に発酵が足りずふくらみがいまいちになったりしてしまいます。もっともおいしく焼き上がる発酵度合いにするのが、腕の見せ所なんですね。

ドウコンにパンを入れたところ。整形した状態で発酵させます
ドウコンにパンを入れたところ。整形した状態で発酵させます

いろいろと難しいことをお話ししましたが(パンづくりは結構、科学的なんです)、オーパングルマンのパンの味を、どうぞ試してみてくださいね!

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